靴を買うタイミングについて

「良い靴を履きなさい。良い靴は素敵な場所へ連れていってくれるから。わかった?」

 

小学校の頃の担任教師だったか、はたまた母親だったのか定かではないが、この言葉を言われた小さい頃の自分は妙に納得したことを覚えている。

 

ここ4年間、新しく靴を買った覚えがない。持っている2足の靴のうち、スニーカーは学生の頃に購入したものだし、ブーツに関しては大学入学を祝って両親がプレゼントしてくれたものだから履き続けて6年になる。

 

物持ちが良いとも言えるが、ボロボロの靴を履いているため(特にスニーカーはボロ雑巾みたいになっている。)かなりの確率で周りの人から「靴買いなよ〜」と言われる。

 

足元に視線を落とすたびに顔をのぞかせるくたびれたスニーカーは、お世辞にも素敵な場所へ連れていってくれるとは思えない。

 

けれどもまだ履けるのである。自分で言うのもなんだが臭くもないし、穴もあいていない。ただ表面の生地だけが、色褪せ、黒ずんでいる。しかし履ける。

ウソップ(ONE PIECE登場キャラクター)風に言うのであれば「こいつはまだ走れる」のだ。それを出会ってから日も経っていない知人レベルの人間に「ボロボロだから買い替えなよ」などと言われれば、こちらも良い気はしない。なんだかこの文章を書いていて腹が立ってきた。

 

話が逸れてしまったが、世の中の人たちはどのタイミングで、どういった気持ちの踏ん切りをつけて、靴を買っているのか気になって仕方がない。

自分の人生を足元から支え、色々な場所に連れていってくれた、様々な人と出会わせてくれた相棒との惜別をどのように乗り越えてきたのか。知りたい。

ぼくは未だにこの船から降りられずにいる。沈みゆく船かもしれない。もうこいつに意識はないのかもしれない。けれども、数年間毎日のように顔を突き合わせてきたこいつとの別れのトリガーが、見ず知らずの何気ない言葉で良いはずがない。

 

少々靴ごときに感情的になりすぎた気もする。

しかし、本日3月15日は「靴の記念日」である。 ちょっとくらい靴に対する感謝の想いがあっても罰は当たるまい。